ジャック

ジャックプロフィール.jpg
姓名 ジャック
種族 ホムンクルス(登録上はデューマン)
性別 不明(肉体、登録上は男性)
身長 207cm
年齢 不明(登録上は25歳)
プレイヤーネーム tenbin

「Alea iacta est。あとは――沈黙」


概要

異世界より来訪した不完全なホムンクルス。名無しの怪人。黒の亡霊。白痴の錬金術師。真理の探求者
その身体は風が吹けば折れかねない程に華奢で、肌は蒼褪め死体にも似ている。仮面と髪で顔の殆どを幽鬼の如く覆い隠し、外見だけでも確実に異様なる風貌ではあるが、内面的にも異常の一言で片づけられる存在であり、彼の肉体には脳味噌も心臓も無い
皮肉や嫌味を口にする知識はあるが、彼の言葉は人と関わりを持つための物ではなく、ただ語る為だけに存在する。肝心の皮肉や嫌味もわかり辛過ぎて伝わらない事ばかり
故に白痴。台詞は殆どが常人には意味の通じない寓話染みたものであり、時として謳うように古き格言や物語からの引用を用いる。狂っていると称されても何一つとして間違っていない
生まれ落ちた時は実体を持たないゴースト(スピリット)だったが、錬金術師「パラケルスス」に仮初の肉体を与えられ、現在の姿となった
目的は主であるパラケルススの求める全能の秘術、アルス・マグナの捜索。その為に主の錬金術によって異世界、此の地に降り立った
その肉体は徹底して物質的な概念に過ぎず、構成するのは水銀、硫黄、塩の三種のみ。傷が付けば血ではなく水銀が流れ、硫黄の匂いが周囲を満たして、錬金術によって即座に再生する
元が霊体である為に肉体を滅ぼされても死ぬ事はありえず、そも、例え粉微塵にされても右眼の欠片ひとつさえ残れば肉体は再生する。魂を削る霊的なる攻撃でなければ、彼を殺す事は不可能(故に孝之介やソバットなどは天敵と言える)
仮面の奥に隠れる右の眼は疑似的なる賢者の石、「マクロプロスの石」であり、言わば賢者の石の贋作
贋作と言えどその出力は人智を超越しており、四大万象の創造、変成、腐敗を自在に行う
また、次元を超越してパラケルススと繋がっており、パラケルススはジャックの見聞きした物を全て、己が情報として知覚している
基本的にジャックは右眼から彼の命を受けて行動しており、アークスになったのも効率的に知識を集める為という彼の命に因るもの
普段は仮面にてその叡智を隠し、人の眼に触れぬようにしている



以下の記述は彼を形作る過去であり現在であり未来である

  • ジャック
本キャラクターの通称。英語圏でのありふれた男性名であり、解釈するならば日本で言う「太郎」か。ただし本キャラクターのそれは言わば「名無しの権兵衛」に当る
トランプに於いては兵士、召使い、従僕などを意味する
此方の世界に来る以前、元の世界ではパラケルススの命を受け、彼は人知れず誘拐や殺人を行っていた
黒衣を纏う異形なりし仮面の男は噂と化して徐々に人の世に広まりを見せ、軈て人は彼を「ジャック」「名無しの怪人」「黒の亡霊」などと呼称した
元来ホムンクルスに名は与えられず、彼も本当の意味で名無しであったが、ジャックと言う怪人伝説が確立して以後、パラケルススも面白がって彼をジャックと呼ぶようになり、他のホムンクルスにも名を与える事となった
銀に煌く鋭利なるナイフを用いて女性を無惨に切り殺したとか、屋根よりも高く跳躍し月夜に消えて行ったとか、様々な逸話、妄言が罷り通る事となる

  • パラケルスス
テオフラトゥス・ホーエンハイム。数千の時を生き、数万の顔と名を持つ偉大なる錬金術。ジャックからは「黄金の者」「黄金のパラケルスス」と称される
ジャックに肉体を与え、使役し、此の世界へと送り込んだ張本人。世に多くの錬金術師、そして魔術師を輩出した
アルス・マグナ、即ち賢者の石へと至る法理を見付ける為に、幾つものホムンクルスを創造し、マクロプロスの石を与え、様々な世界へと送っている
その知識、実力はあらゆる錬金術師を超越し、ジャックなど足元にも及ばない。人は彼を「最も真理に近き者」と呼ぶ

  • クレイジー・ジェーン
狂乱の娼婦。元の世界でジャックが攫った女の一人であり、彼に何かしらの影響を与えた狂女
本名は不明だが自らクレイジー・ジェーンを名乗り、攫われるまでは娼婦として肉欲に耽りあらゆる男を抱いていた。此の世の愛とは合切が肉体に纏わるものだと信じ込んでいる
クレイジーの名の通り疾うに狂ってはいるのだが、狂っているが故に物事を分け隔てなく見る事が可能であり、ジャックとの邂逅では彼に一目惚れし喜んで攫われている
その後は監禁の身となるが、本人はそんな事など歯牙にも掛けず、残された時間を可能な限りジャックと過ごした
一方的にジャックへと語り掛け、格言やシェイクスピアを話して聞かせたが、最期は彼の持っていたナイフを彼の性器に見立て、自身の恥部へと突き刺し絶頂と共に絶命する。あり得ぬ事にその時、彼女は処女であった
感情の無いジャックには、彼女の言葉や愛など何の意味もない物であったが、何故か彼女の語っていた格言、そしてシェイクスピアはその後の彼が発する言葉の一端を担う事となる
パラケルススは彼女について「ジャックにとってのマルガレーテ、そしてベアトリーチェに成り得たかも知れない女」と評価し、絶命の事実を惜しいとさえ思っている
なお、無論であるが五所川原氏のキャラクター「ジェーン」とは一切関係が無い

「女は愛に夢中になると誇り高くなるものなのよ。その愛が住まうところは小便がでるところと同じ孔。その孔を破られないうちは女として何事も始まらないわ」
 W・B・イェイツ「クレージー・ジェーン司教と語る」より

  • ヘルメス・トリスメギストス
三重に偉大なるヘルメス、トリニティ・ヘルメス、エメラルドのヘルメス、一なるもの。言葉の中でジャックは度々、此の名を使用する
全ての錬金術と魔術の祖。無に生じ宇宙を創造した始まりの神とも呼ばれる
故に錬金術や魔術とは言い換えるならば「ヘルメスの術」であり、生命の全ては「ヘルメスの子」である
神秘の全ての記したエメラルド・タブレットを遺し、それこそがアルス・マグナであると考えられている

  • ファウスト
愚かなりし錬金術師、ドクトル・ファウスト、メフィストフェレスに憑かれし者。ヘルメス同様、ジャックは此の名を口にする事が多々ある
愛した女を手にする為に、デモン「メフィストフェレス」にその身と魂を売った錬金術師。即ち悪魔憑きとして破滅した者であり、嘗てはパラケルススの弟子でもあった
彼そして女の最期が如何なるものであったかは不明であるが、彼の名は悪魔憑きの代名詞として錬金術師の間では広く名が知れている
一説によればメフィストフェレスはその後、彼の肉体を奪い、マウリツィウスと言う名の高利貸しに化けているともされるが、やはり詳細は不明
「時よ止まれ、お前は美しい」という言葉はあまりにも有名。この言葉は錬金術師にとって永遠の命、即ち賢者の石を象徴していると伝えられる

  • ウィリアム・シェイクスピア
著名なる劇作家。錬金術師でも魔術師でもないただの作家だが、何故かジャックは彼(と言うよりは彼の作品)を自らの言葉として使用する
彼の作品はクレイジー・ジェーンの愛読書であり、ジャックは彼女の口から狂言回しのように作品の台詞、文章を聞かされていた
他の著名人が残した名言、格言の引用も、多くはジェーンから伝えられたものである

  • ダンテ・アリギエーリ
喜劇の錬金術師、希望棄て去りし者、神曲の旅人。ファウストと同じく錬金術師には名の知れた存在であり、彼の旅路はジャックが使用する言葉のひとつ
嘗てデモン及びスピリットに導かれ、此の世の全てを巡ったとされる錬金術師。その旅路は叙事詩として記録され、多くの錬金術師に知られている



以下の記述は錬金術及び彼と言う世界を構成する一端である

  • 錬金術
アルケミア、アルケミー、ヘルメスの教え、黄金の術、赤魔術。万象の創造、腐敗、変成を司る学術
万象を完全な存在へと変える術を言い、過程に在る四大元素、エーテルを操る術は魔術とされる。単純に、全てを一括りに「キミア」とも称される
物質や概念を完全に他なる存在へ変成する事が可能であり、高位なる錬金術師であれば物質を動物に変成する事や、パラケルススのように時空の変成すら可能
応用すれば物質や生物など複数の存在を合成させる事も出来る
ただし人間の魂、そして賢者の石だけは誰一人として創造が叶わず、錬金術師の悲願となっている
全ての錬金術師はこれを神による天地創造の術であるとの考えを持つ

  • アルス・マグナ
大いなる術、エメラルド・タブレット
一口に言うなれば賢者の石の創造術。宇宙の真理

  • エーテル
精、エリクシール、第一質量、第五元素、プリマ・マテリア、魂、神聖なるテトラクテュス、塩、エイドス、アニマ
物質、概念問わず万象に宿る魂にして、万物を万物たらしめ具現化させている存在。言うなれば世界の元となる基本物質
その性質や濃度は物質や概念ごとに異なり、銅なら銅、金なら金、植物なら植物、人間なら人間のエーテルがある。同じ銅でも濃度の高低など構造にはバラつきがある
世界には大いなるエーテルと呼ばれる複数のエーテルが層状に積み重なっており、大別すると以下の三種類となる
・物質を司る「物質のエーテル」
・時間と空間を司る「時空のエーテル」
・そして深奥である根源には生命を司る「生命のエーテル」、即ち世界霊魂(アニマ・ムンディ)
この層は世界の形でもあり、層状である為に高位のエーテルを操れば必然的に前者をも操る事を意味する。生命の中に時空があり、時空の中に物質がある。物質を変成すれば時空も変動する。時空を変成すれば生命も変動する
この三層のエーテルはセフィロトの樹の四界に相当し、無限(ヘルメス)より生命が「流出(アツィルト)」し時間を「創造(ブリアー)」し、空間が「形成(イェツラー)」され「物質(アッシャー)」となる
万象を分解しそのエーテルを解放、そして他なる万象へと変成することが錬金術である
錬金術の思想では此の世には宇宙創造以前を除き「無」と言う概念は存在せず、何も無い空間にもエーテルが漂っている。よって、高位の錬金術師は常人からする所の「無から有を生出す」事が出来る
四大元素を生出す術は基本的に該当するエレメンタルとの契約だが、後述する三原質を用いて行う方法もある
また、四大元素を組み合わせる他にも神霊や悪魔の力を利用する事もある

  • エーテル体
強大なるエーテルが形を為し、ひとつの生命体と成ったもの。精霊、悪魔などが是に該当し、ジャックも元々はエーテル体である

  • アニマ・ムンディ
世界霊魂、生命のエーテル、光のエーテル、バベルの図書館、アカシック・レコード
世界霊魂の名の通り、世界つまりは宇宙に遍在する巨大なるひとつの魂を指す。言うなれば宇宙というエーテル
神の如き存在ではあるがその実、神ではなく、あくまでも神が生み出した原初にして巨大なる生命。世界そのものと言って良い
これが極度に純粋となると石の形を取り、賢者の石となるとされる
あらゆるエーテルの母であり、あらゆるエーテルに繋がる父である。一は全、全は一
他世界、異世界の解釈としては、アニマ・ムンディが複数存在すると考えれば良い
まず完全なる無「アイン」が存在し、其処に超越存在である神がいる。神は己を収縮させた無限の力「アイン・ソフ」を生出し、そこから世界創造の無限光「アイン・ソフ・オウル」が発生し、その光がアニマ・ムンディと化し宇宙を創る
パラケルススの理論としては、アニマ・ムンディは他のエーテル同様ひとつではなく複数存在している。それらは同じ無から生まれているが完全なる同一ではなく全てが異なる構造を持ち、然し同じ無から生まれているが故に必ず何処かで繋がっている
無を宇宙、アニマ・ムンディを物質、繋がりをアニマ・ムンディと言い換えればより理解は易く、物質は複数存在しているがそれらは全て同じ宇宙から創造された物であり、全てアニマ・ムンディによる繋がりを持っている、という事
ならば後述するホムンクルス創造、即ち既存のエーテルを既存の物質へ嵌め込むと云う行いは、「こちら」の存在を「繋がり」を通して「あちら」へ送り込む行いと同じである
無論、是は状況の一致を示しただけの極論に過ぎず、其処には様々な障害が待ち受けており、実行するなど狂気の沙汰である
然しパラケルススは実現した。その理論によってこちらに在るホムンクルスを、あちらと言う世界へ送り込んだのである
宇宙を創造する事は未だ出来ずとも、我々は生きると云う行為によって、永遠に宇宙へ干渉し続けている。ならば異なる宇宙であろうと干渉する事は可能である

  • 時空
時間と空間、双方を同列に扱う概念
時間がある所には空間が存在し、空間がある所には時間が存在する。互いに切り離す事は出来ないと言う理論
例えば、世界の時が停止したら物質の運動、変動も停止する。物質とは空間でもあるが故に、物質の停止とは空間の停止を意味し、結局のところそれらは時間の停止をも意味する
空間を歪ませ、狭間に空間を変成しても、其処には必ず時間が流れており、結果として時間の変成にもなる。なお元の空間と同等の時間の流れかどうかは、変成した術者次第である
ただし物質のエーテルが物質ごとにその性質を変化させるように、時間と空間とでエーテルの性質は似て非なる個別の存在であり、これはセフィロトの四界でも創造、形成とで表現されている
互いに密接しており、性質が酷似している為に時空と纏められる
エーテルの性質は異なるが、双方を同時に変成させなければ術が成り立たない為、実質的にどちらか一方の変成は不可能に近い

  • 三原質
物質の三大性質。水銀、硫黄、塩と称されるが、あくまで物質ではなく性質の呼称である
水銀は湿、硫黄は乾の性質を持っており、塩は硫黄と水銀を結びつける役割を持つ。つまるところこの場合の塩とはエーテルである(塩の柱、地の塩など、塩は聖書でも聖性と共に語られる)
なお、単なる物質という意味でも錬金術師には重宝された代物であり、パラケルススは是を用いてジャック達ホムンクルスの肉体を創造している

  • 賢者の石
ヘルメースの石、赤き霊石、エリクシル、ティンクトゥラ、黄金の錬金術
錬金術の追い求める叡智の結晶にして、パラケルススの目的其の物
此の世ならざる力を秘め、用いれば不老不死を得る、全てを完全へと至らしめる、神の領域へ至るなど、様々な伝承が語られる
実際に是を手にしてしまえば宇宙創造すら可能となり、正しく神と同等の存在と化す
賢者の石による錬金術とは即ち、アニマ・ムンディから万象のエーテルへと繋がり、その存在へと介入する世界改竄術を意味する
同時にアニマ・ムンディと言う宇宙のエーテル其の物の改竄が可能であるが為、それは新たなる宇宙の創造術にもなり、他世界すら自在に操る事を可ならしめる

  • マクロプロスの石
数多あるパラケルススの名のひとつにして、嘗て存在した錬金術師、ヒエロニムス・マクロプロスが創造した不完全なる賢者の石
ジャックの右眼でもあり、彼は是を「幻想のティンクトゥラ」「幻影のティンクトゥラ」「マクロプロスの贋作」と呼ぶ。彼はこの石を通じてパラケルススと繋がっている
ホムンクルスの存在を物質界に安定させる心臓。破壊されればホムンクルスは肉体諸共に滅びる
前述した通り所詮は贋作であり、不完全。ただしその威は直視しただけで常人ならば狂い死に、惑星や太陽の創造、時空変成すら可ならしめる

  • 黄金
読んで字の如く金そのもの。ただし此の世、即ちオラクルにあるそれとは性質がまるで異なる為、ジャックの語るそれとは完全な別物質として扱われる
黄金とは鉱物が土や山の中で数百、数千、数万の時を経て成長し完全に至ったものであり、錬金術師にとっては完全、完成の象徴。地球の核も黄金とされる
物質でありながら佩用するエーテルは時空以上に強大且つ複雑極るものであり、並の錬金術師では扱う事が出来ない
その性質は完全無欠と言って良く、ヒヒイロカネやオリハルコンに勝る窮極の金属。アルカエストでなければ破壊する事が出来ない

  • アルカエスト
万物溶解液。錬金術に用いられる液体であり、あらゆる物質を融解しエーテルへと変換する
ただし現状、マクロプロスの石だけは融解が不可能である為、その容器にて保存されている。マクロプロスの石さえあれば無用の長物である為、ジャックは未所持

  • エンチャント
魔術、魔法とも。錬金術と同じ神秘の術だが、言うなれば錬金術の過程に在る下位なる術。錬金術を学び操る上では取得が必須とされる
契約したエレメンタルを使役し四大を操るなど、基本はエーテル体へ干渉しその力を利用する術
あくまでも錬金術の下位であり、火は火、水は水と物質や元素を他なる存在へ変成する事は出来ない
例えば流れる水の軌道を操る、火を操ってそれを蒸発させるなどは可能でも、水流を土や火、黄金など他の物質へ変成する事は不可能
魔術の中にも分類はあり、白、黒、赤、そして四大を操る魔術はそのままエレメンタル、後述するスピリット、アストラルを操る術をテウルギア(神働術)、デモンの高位をゴエティア(降魔術)、下位をネクロマンシー(死霊術)

  • 魔術師
エンチャンター。魔術を主に扱う者。また、錬金術師にとってすれば魔術しか扱えない者へ対する蔑称でもある

  • 白魔術
天使、精霊などの神聖な存在の力を利用し行う魔術。テウルギア。色の分類は錬金術に於ける白化(アルべド)。再生、復活を象徴する

  • 黒魔術
悪魔、悪霊、死霊などの邪悪なる存在の力を利用し行う魔術。ゴエティア、ネクロマンシー。色の分類は錬金術に於ける黒化(ニグレド)。死、腐敗を象徴する

  • 赤魔術
物質、概念変成の術。つまりは錬金術を指す。色の分類は錬金術に於ける赤化(ルべド)。完成、完全を象徴する

  • 四大元素
地水火風。万物を構成する四つの元素。全ての物質はこの四つの元素の組み合わせで作られている
第五元素とも呼ばれるエーテルに熱、冷、乾、湿の四性質を加えられて生じたもの。熱と乾で火、熱と湿で風、冷と湿で水、冷と乾で地

  • 契約
生命体が交す魔術的な契。互いに異なるエーテルを強く結び付ける行いを指し、その方法は大規模な魔術儀式もあれば、羊皮紙にサインするだけというものもあり、行う者によって多様である
契約を交わした者は互いに結び付けられたエーテルにより、相手が所持する力を行使する事が可能となる
なお、此の場合の力とはあくまでもエーテルの性質が持つ力である為、例えば人間同士の契約が成立したとしても、相手の錬金術を扱えるなどという事態にはならない
またエーテルにはヒエラルキーという階層概念が存在しており、これは言わば各エーテルの力の強さ。強きエーテルを持つ者は弱きエーテルを持つ者よりも上位存在とされる
前述の通り、契約とは即ち互いのエーテルを結びつける行いである。故に悪しき性質を持ち、且つ強きエーテルを佩用する精霊であれば、契約対象の魂を支配する事も可能となる(悪魔憑き)
ホムンクルスの場合は生命体として不完全である為、契約行為そのものが不可能である。因って四大契約はしていないが、マクロプロスの石の力を扱いそれを補っている

  • スピリット
精霊。人の眼には見えないエーテル体
人を超えた力を持つが、基本的に善なる存在であり、また彼らの力は多くが人間の手で再現可能な物である為に、ヒエラルキーも人間の下位に位置する者が多い
ゴーストと呼ばれる者は、無害であればそれは大概にして彼らである。リスクも少なく、然し得られるものは多い為、主に人間が契約する対象

  • エレメンタル
四大精霊。業深き女性の魂(エーテル)が死後に変ずる精霊。四元素の内に潜み、四元素を司る。やはり人の眼には映らない
魔術師、錬金術師にとっては基本中の基本とも言える契約、使役の対象。四大の大とはあくまで彼らが基礎として重要視されると云う意味であり、ヒエラルキー上の意味ではない
彼らはそれぞれの元素しか操る事が出来ず、多様なる知識と力を持つ人間よりも下位存在であると認識される。無論、特化している為に各元素を操る力自体は人間の比では無い
それぞれ火のサラマンドラ、水のウンディーネ、風のシルフ、地のノーム

  • アストラル
神霊。聖なる存在
その存在は非常に稀であり、多くは聖遺物やアーティファクトなど、何らかの魔術的要素が関り乍らも、侵されぬ清らかなる存在を依代とする
物質、概念ごとに様々なアストラルが存在しており、それらは総じて人間より遥か高みの存在である。生前の行いによっては、死者の魂が何らかのアストラルと化す場合もある
生命体ではあるが天使のような高次存在である為、元来ならば殆ど人間に干渉しない。契約もまた滅多に出来ず、したとしても四大のように操るのではなく力を借りると云う認識になる
彼らが棲まう世界はセフィロトと称される霊的世界であり、此処にはスピリットとエレメンタルも存在している

  • デモン
悪霊。精霊の一種であるが、人間に害為す悪しき存在として区別された。悪魔、フリークス、魔物、東洋に於ける妖怪とも
多くは悪の概念のエーテル、または死者の魂が生前の行いや怨みと言った負の性質を受けて変化したもの
デモンと云う名前同様、彼らの棲まう世界はスピリットとは明確に区分され、クリフォトと称される世界であり、時に自らの意思で姿を現しては人に干渉し悪を為す
その悪性故かヒエラルキーに於いては殆どが人間と同格、或いは下位の存在である為、契約を交す魔術師も多い。ただし高位なる存在は時としてアストラルに匹敵し、人間を騙し呑み喰らう
悪魔憑きと呼ばれる人間は、そうしたデモンと契約を交し肉体や精神、魂を支配された者達である

  • セフィロト
霊界、神界。人の眼には見えない霊的空間
人が生きる物質界の上位世界として存在し、スピリット、エレメンタル、アストラルが棲む世界
その内容も細かに区分されており、神曲にてダンテが訪れた煉獄、天国はセフィロトに位置する。即ちそれは後述するアース、クリフォトと繋がっている事を意味し、時としてスピリットやアストラルはデモンへ墜ちる
基本的に物質的な干渉は出来ないが、此処に在る存在もまた世界に従いエーテルによって構成されている為、嘗てダンテが旅をしたように、錬金術師ならば干渉は可能

  • アース
物質界。即ち現世。人間や動植物が認識し、生きている世界

  • クリフォト
魔界、幽界、冥界。セフィロト同様、人の眼には見えず干渉も出来ない霊的空間
物質界の下位世界。デモンが棲む俗に言う地獄。セフィロト同様、錬金術師のみ干渉が可能

  • ホムンクルス
人造人間。錬金術によって人造的に生み出された生命体
ただし現存する全ては既存のエーテル体を「人の形をした物質」に嵌め込んだだけの不完全品であり、完全なるホムンクルスは誰一人として創造に至っていない
ただ肉体に生命を吹き込むだけならば、動物のエーテルを錬成し与えればいいだけの話である
然しホムンクルスの定義とはあくまでも人造「人間」であるが為、人間の魂、精神を錬成しなければ完全足り得ない
そして人間とは後述するように「肉体」「精神」「魂」の三点が揃い、合致しなければ成立し得ない
既存のエーテル体が与えられた肉体に嵌め込まれただけの存在であるホムンクルスとは、当然乍らそれらが合致しておらず、故に生命体として不安定、不確定な存在であり、マクロプロスの石の力でその存在を保っている
以上のことから、賢者の石が無ければ完全なるホムンクルスは創造不可能とされている

  • 人間
読んで字の如く人。獣などの動物とは明確に区別される。肉体、精神、魂の三つで構成されており、それら三つは強く繋がり合致する存在。肉体の創造は可能でも、それに合致する精神と魂が無ければそれは人間ではない
魂とは世界の根幹であるエーテル。精神とは個人を個人足らしめる認識、即ち個人と言う時空。肉体はそれらを包む物質である
そのエーテルは宇宙にも似て複雑怪奇な構造をしており、内的宇宙(ミクロコスモス)とも呼ばれる。人間の創造は宇宙の創成に繋がるともされ、成し遂げた者は誰もいない

  • クロノス
時の神の名称であり、クロノス時間、大いなる時間、外的時間、つまりは止まる事無く一定に流れ続ける世界そのものの時間でもある。世界と言う生命の認識
錬金術師は主に後者の意味で用いる

  • カイロス
時の神の名称であり、カイロス時間、小さき時間、内的時間、人間個人が認識する時間でもある。つまり前述した個人と言う時空に等しい。錬金術師は主に後者の意味で用いる
例えば一般的なフィクションに表現される時を止めると云う行為は、己が周囲以外のクロノスを停止させ続け、自身のカイロスを動かし続ける術
ただクロノスのみを止めるだけでは、己の肉体を含む全ての物質の運動が停止し、カイロスという己の意識だけが残る。つまり、意識はあるが時の停止によって自分も動けなくなる
その肉体の停止を防ぐ為に、自身の周囲だけのクロノスを連続的に変成する。例えるならば身体に薄く膜を張る様にして、自分が動ける空間を作る。時間停止を防ぐバリアーと言えば話が早い
そうする事によって結果的に世界の時間のみが止まり、己は自在に動き続ける事が出来る。ただし張った膜は不動である為、自身の動作に合わせて瞬間的、連続的に膜を変成し続けなければならない

  • ウロボロス
輪廻転生、リインカネーション、ロタティオン。世界の原則にして錬金術の基本的思想
あらゆる物質、生命は死ぬ事で一度エーテルに溶け、新たな存在へと生まれ変わる。錬金術も同様に、腐敗、復活、完成の三工程で示される



  • 最終更新:2015-08-03 23:55:16

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